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最遊記 feat.VOCALOIDS 「ぶっとび! DTM」 第二話
 でもって後編です。
「他のメンバーが出てくる前に一度は戦闘シーンがあったり謎の人物が出たりするのはのはお約束ですよね?
 それにしても悟空のツッコミの方向性が段々おかしくなってきてます。 そんな第二話後編」

 家に帰ってネギとアイスを冷蔵庫にしまっている横で、ミクが即興で歌を歌っている。
「おでかけおでかけマスターとおでかけはじめてのーおでかけどこつれてってくれるのかなー」
「そういえば、ミクは上着どうすんの」
 上着? とミクは首をかしげた。ミクの服装はノースリーブのブラウスとミニスカートで、寒々しいことこの上ない。
「服はこれしか持ってないよ」
 何てこった。そういえば、夜寝るときにもパジャマに着替えなかったわけだしな。ってことは、カイトもそうか。着替えくらい用意してからこっちの世界に来い。
 金蝉から預かっている食費用の財布の中身はまだ余裕があるから、部屋着がわりのジャージくらいは買ってやれる。
 カイトには悪いが、着替えは三蔵の服を借りてもらおう。丁度同じくらいのサイズだろうし。
 とりあえず、今外に出るための上着は、俺のを貸してやればいいか。

 予算がないので駅前の繁華街をぶらつく程度しかできないのだが、それだけでもミクやカイトにとっては十分面白いようだ。よかった。
 ちなみに今は、可視モードとなっていて、他の人にもその姿は見えるようになっている。出かけた直後、独り言を言いながら笑っている(ように見える)俺を見て、近所の人が思いっきり不審な顔をしたからだ。
 青や緑のド派手な髪の毛は、普通の人間には認識できないようになっているのだそうだ。よくわからないけど、その普通じゃない髪の色を目にしても気にとめないように仕向けているんだと。
 何か変な電波でも出しているのか?
 安くてかわいい長袖Tシャツがあったのでそれを二枚と、明るいグレーのイージーパンツ、当面のミクの部屋着はこれでいいだろう。
 ミクにお金を渡してレジに行かせる。「マスターありがとっv」とミクは跳ねるようにレジへと向かって行った。
「予算が足りないから、カイトは三蔵のを借りて」
「かまいません。というか、すみません。僕らが来たことで、色々と面倒をおかけしてしまって…こちらの世界に来るということは、マスターとなる人に負担を強いることだったんですね」
 申し訳なさそうにカイトが言った。
「そんな大げさな。でも、二人ともマスターになる人を選べないわけ?」
 俺と三蔵は金蝉の扶養家族だ。しかも俺は、まだ未成年。別の世界からやってきた居候を養うには無理があるんじゃないだろうか。俺のもとにミクを送り込んだ奴らは、何を考えてたんだ。
「僕らは、選びません。選んだのは貴方がたです」
 は?
「僕らはネットという空間を介して、この世界に顕現することが出来ます。その際に、僕らを“呼んだ”人の元に現われることになるのです」
「俺、誰も呼んでないよ」
 というか、電次元なる世界の存在も知らなかったわけだし。
「でも、願いは、望みはあったでしょう?」
 そう言って笑ったカイトの笑顔はものすごく綺麗で(まぁ実際この世の存在ではないわけだし)、何故か俺は彼を“怖い”と感じた。
 こんな綺麗な笑顔なのに、何故こんなに不安になるんだ。
「気付いていなかったんですね…悟空さん自身が自覚していなくても、貴方自身の中にある“願い”にミクが反応し引き寄せられたんです」
 そんな…俺は何を望んだっていうんだ? せいぜい「かわいい彼女ができたら少しは日常が楽しくなるかな」程度だ。…いや、違う…そうじゃなくて…ああ、そうだ。そっちだ。でも、そんなことは認めちゃいけない。
「あー、ミク抜きで何を話してるのっ」
「男同士の内緒話ってやつだよ」
 ですよね、とカイトは俺に振った。その笑顔はさっきのものとは違って安心感を与える柔らかい笑顔で…もしかしたらカイトは、とんでもない曲者なのかもしれない。
「やっぱり男の子同士の方が仲良くなりやすいのかなぁ? マスターは、ミクが男の子の方が良かった?」
「そんなことないと思う。俺は男子校…って知ってる? 普段はそこで過ごしているから女の子とどう接していいかよくわからないんだ。それが態度に出ちゃっていたらごめん。でも、ミクは嫌いじゃない。ミクが俺を選んでくれて嬉しいよ」
 うわーうわーうわー、もしかして俺、すっごく恥ずかしい告白してませんかーっっ。
「マスター大好きっ! やっぱり、マスターのところに来てよかった!」
 感極まった表情で抱きつかれて、俺の思考回路はショート寸前(って何だっけ。歌のフレーズだったよな)。
 俺が我にかえったのは、カイトが俺たち二人を抱えるように店から連れ出してミクをひっぺがしてからだった。
 あぁぁ…ミクのハイトーンフルボリュームボイスで店中の注目を浴びてしまったに違いない。もうこの店には行けない。安くて品揃えが良くていい店だったのに。

 気を取り直して、男子中学生一人では入れないような雰囲気のカフェでおやつタイム。ウィンドゥ越しに見えるケーキがすごく美味そうで、店の前を通る度に気になっていたところなんだ。
 ミクも喜んでいたけど、それ以上に喜んでいたのはカイトだったり。可愛いものや甘いものが本当に好きなんだな、このヒトは。
 楽しい遠足(と言うべきだろう、この場合)を終えて家路につく。空の赤い色合いは今日も綺麗だ。
「こっちの世界の空はキレイだねっ、ねぇお兄ちゃん」
 俺にとっては当たり前の夕焼け空も、ミクには感動的らしい。一体どんな世界だったんだ?
 そんなほのぼの空間を切り裂いて、鋭い音と共に何かが飛んできて俺たちの足元に突き刺さった。
「な、何だよっ」
 これは、携帯電話…?!
「見つけたわよ初音ミク! 今度こそ、アンタの年貢の納め時よ!」
 ソイツも、かなりの美少女だった。レモンイエローの金髪をサイドテールにまとめ、太い眉に猫のような大きいツリ目。カテゴリ的にはワイルド系、だろうか。
「ミク、アレは知り合いなの?」
「うん…知り合いっちゃぁ知り合いなんだけど…ミク、こんな処で攻撃を受けるおぼえはないよ」
「きぃぃーーーーーっっ! やっぱアンタむかつくわ! やっぱり出会ったらツブす、それしかないわねっ!」
 ミニスカートを捲り上げ、太もものホルスターから携帯みたいなものを二つ取り出して両手に構えると、ソレから縦横無尽にビームが発射された。
 何だコレ当たったら死ぬとかじゃないだろうな、と思った瞬間、青い光がビームを遮った。
 カイトが歌を歌っている。そのカイトを中心に青い光が発生して、ワイルド娘の攻撃を防いだのだ。
「マスターが不在でも、この位のことなら出来ます」
 こともなげに言うカイト。ワイルド娘はよりエキサイトしたらしい。
「邪魔するなっ! これは、あたしと初音の決闘(フェーデ)だっ!」
 ミクは、俺の手を握り締めた。
「ねぇマスター、戦っていい?」
 俺の本能が、危険だと告げている。だけど、あぁ…
「闘えミク。売られた喧嘩は高く買おうぜ」
 俺は、これを望んでいたんだ。普通じゃない現実。非日常。シャレにならない命がけの、とんでもない日々。
 そんなの望んではいけないと思いながら、それでも思ってしまったこと。漫画やラノベの主人公のような、非日常の世界が繰り広げられたら。
 俺も、漫画の主人公になれたなら。俺を取巻く現実に、そんなの無理と捨てた願いがかなおうとしている。
 理性は引き返せ、と警告している。本能も無視しろと告げている。
 だけど、それ以上に俺自身が期待しているんだ。だったら、その伸ばされた手を取るしかない。
「見敵必殺ってやつだ。売られた以上は勝とう」
 何だか、俺自身にも力が湧いてくる気がする。ミクと一緒なら、何だってでできる。
「マスターと心をひとつにしてシンクロすることによって、ミク達は力を得ることができるの」
「それが僕たちボーカロイド…歌を武器として闘う者の基本能力です」
 心をひとつにって、バトル漫画では定番ネタだけど、どうすればいいんだ?
 俺たちを守っている青い光が薄れてきた。どうやらそろそろ限界らしい。
 ミク、反撃だ。
 俺はそっとミクの肩に手を置いた。
「ミク、がんばれ」
「行ってくるね! マスター!!」
 ミクが跳んだ。一気に間合いを詰めたミクの手には、緑と白のツートンカラーのバールのようなものが握られている。
「ネル、油断するな! 来るぞ!」
 誰だ?!
「こっちは俺にまかせろ、ネル!」
 そう言って俺に鋭い蹴りを放ってきたのは…
「紅孩児先輩?!」
 俺が一年生だったときの生徒会長だ。鋭い突きや蹴りをなんとかギリギリかわしながら、そういえばこの人、空手部のエースだったっけと思い出した。
「お前、同じ学校か」
「に、に、二年下っす」
 こっちはかわすのに精一杯だ。そこに、カイトが割って入った。先輩の軸足を払い、体勢が崩れたところに強引に押さえ込みにかかる。
「貴方がネルさんのマスターですか」
 ネルっていうのか、あの子。
「確かに、マスターと同調できない状態での戦いならば、ミクの方が分が悪いですね。ならば、悟空さんを攻撃することによってネルさんへの援護になる」
 それで俺、攻撃されたのか。ミク達は10メートルほど離れたところで携帯のようなものとバールのようなものでチャンバラ状態なのだが、確かにミクの方が押されている。相手が二刀流というのも苦戦の要因だろう。
「ネルを勝たせてやりたい。ネルは、俺と俺の家族のために身を削って尽してくれている。だから、ライバルに勝ちたいというネルの願いを助けたい」
 うめき声をあげてカイトの体が崩れた。押さえ込まれながらも繰り出した膝蹴りがカイトの鳩尾に入ったんだ。
「カイト!」
 近づこうとした俺を、カイトは「下がっていてください」と制した。カイトから逃れようとした先輩の腕を掴みねじ上げる。
「悟空さんは、僕の妹のマスターです。僕のマスターの家族です。貴方の事情がどうであれ、傷つけさせはしません」
 どうしたらいいんだ、俺。そうだミクを応援しなければ。同調ってどうやるのかわからないけど、ミクに気持ちを向ければ多少は力になるのかもしれない。
 俺がそう思ったとき、何かキラキラした物が二人に降り注いだ。
 それを避けるため、組み合っていた二人は離れる。
「これは、ガラス…?」
 振ってきたのはガラスの破片のようなものだった。
「ハク! ハクなのね!」
 ネルがきょろきょろと辺りを見回しながら叫ぶ。ネルにはガラスを降らせた奴に心当たりがあるようだ。
「そこまでです、ネル」
 儚げ系美人が姿を現した。長い銀髪を後でひとつに束ねている。
「ネル、貴女は約定に違反している。これは正当な決闘と認められない」
 どうやらハクというらしい美人は、赤い瞳を潤ませた。
「ネル、貴女はわたしの唯一の友人です。だから貴女が罪に問われたらわたしは悲しい。だから止めました」
「ボーカロイド同士の決闘(フェーデ)は、第三者であるペア二組以上によって認められてから戦闘開始、だっけ?」
 ハクの隣に、長身の男が立つ。二十代後半くらいだろうか、短い髪を立たせた髪型に黒いコート、雑誌の中から出てきたような格好良い雰囲気で実にハクとお似合いだ。
 この人がハクのマスターなんだろう。
「なぁ、ここはひとつお友達を心配するハクの気持ちを汲んでやって、ひとつ引いてくれねぇか?」
「…わかったわ…マスター…」
「いいのかネル。次の機会は、いつ来るかわからないんだぞ」
 ネルの声は震えている。
「約定違反を問われてマスターと引き離されたり、ハクを悲しませたりしたら…そっちの方が辛いもの」
 そして、キッとミクを睨み付けた。
「いつか絶対、あんたを倒す!」
 男は、先輩を立たせて背中をぽんと叩いた。
「そーゆーわけで、またな」
 ネルと先輩を立ち去らせると、男は俺たちの方に歩み寄る。
「人払いの技も使わないで闘うとは、無茶しやがって」
 男の言葉にカイトは「あ」と呟いた。
「すいません、うっかり忘れてたんです」
 この口ぶりからすると、無関係の人間が近づかないようにする方法があるってことか。
「お前がカイトか。お前のマスターがいれば、略式とはいえ何の問題もなかったんだがな」
「おじさん、それどういう意味?」
 俺の「おじさん」呼ばわりに、男はムっとしたようだ。
「おじさんじゃねーよ、お兄さん! 捲簾お兄さんだ」
「えっと、じゃあ捲兄ぃ、カイトのマスターがいれば問題なかったってどういう意味?」
 俺が問い直すと、捲簾は説明してくれた。
 曰く、ボーカロイドの決闘(フェーデ)は第三者であるボーカロイドとマスターのペア二組以上によって正式な決闘であると承認され、彼らの宣誓によって開始されるという。
「だからコイツのマスターがいれば、略式とはいえ正式な決闘となり何の問題もなかったってこった」
「もうひとつ、質問があるんだけど。何故闘わなくちゃいけないんだ? 同じ世界から来たんだろ?」
 その言葉に、ミクとカイトは困った様子で顔を見合わせた。
「あの…えっと、どういう風に説明したらいいんでしょうか…」
「こっちの人間にわかりやすく説明するには何て言ったらいいかわからねぇんだろ。俺がハクから聞いた範囲のことを俺解釈なんだが」
 捲簾が、煙草に火を点けながら口を挟んだ。どうやらこの人に説明させた方がよさそうだ。
「要はな、経験値だよ、経験値。RPGでいうところのな。ゲームみたいに、決闘によって経験値が貯まってレベルアップできるんだ、こいつら」
「何のためにレベルアップするんだよ」
「元いた世界を変える力を手にするため。そういうことだったな、ハク」
 ハクは無言で頷いた。元いた世界を変える…どんな風に、どうやって変えるというんだ。
「ところでよ、お前さん修復系が得意だそうだが…マスターがいないんじゃあ無理だな」
 カイトが申し訳なさそうに答える。
「多少の修復はできますが、マスターが不在なので完全にはできません」
 そして歌い始めると、青い光がカイトの周囲に発生した。先ほど携帯ビームやバールのようなものによって壊れたり焦げたり穴があいたりした電柱や塀、道路が元に戻っていく。
 ただ、カイトが言っていたように、完全には元に戻ってはいない。
「この程度なら大丈夫なんじゃね? さっさとばっくれようか」
「人払いを解除しました。あと一分二十秒後には完全に効果が切れます」
 ハクの言う通りなら、すぐにこの場を離れた方がいい。道路や電柱は、完全には直っていないわけだから。
「痛っ」
 さっきの先輩の攻撃をかわそうとした際に、足をひねっていたらしい。
「マスター、ミクにしっかりつかまっててね」
 そう言うなりミクは俺を抱き上げた。ちょ、女の子にお姫様抱っこされるなんてっ。
 そしてミクは俺を抱えたまま飛んだ。
「ええっ?! ミク、空飛べたの?!」
「うん!」
 すぐ横をカイトが飛んでいる。下を見ると、あの二人はどこかへ立ち去ったらしく、姿が見えない。
「このまままっすぐ帰るの、もったいないな」
「ミク、一旦帰って悟空さんの足を治療しないと」
「そうだったね」
 漫画やラノベような出来事が始まったら…そんな願いは俺を抱えて飛んでいる女の子によってあっさりと叶えられてしまった。
 これから一体、どうなってしまうんだろう。
 どうしよう、未来(さき)が見えない。
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【2008/03/27 00:58】 | 二次創作 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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酒とカレー粉の日々


酒と辛いものを愛するヲタクな劣等遊民・紅沙まみみ(あかしゃ・?)のダラダラな日々。酒とカレー以外では、峰倉かずや作品・チャンピオン系作品・魔法先生ネギま!とVocaloidの話題が多し。

プロフィール

紅沙まみみ

Author:紅沙まみみ
 紅沙は「あかしゃ」と読ませます。
 酒と辛いものが好きな劣等遊民。初めてBL萌えしたのは幼稚園の時、「宇○鉄○キョー○イ○」を観て、という筋金入りのダメ腐女子。
 心の広い配偶者と息子2人(愛称は仔豚ちゃん)に恵まれるも、ダメ人間っぷりに変わりはなく。
 好きなビールはヱビス。煙草はアークロイヤル。一応清水エスパルスのファン。最近ではすっかりニコ厨。
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