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最遊記 feat.VOCALOIDS 「ぶっとび! DTM」 第四話
 悟空とミクのこっぱずかしいボーイミーツガールを書こうとしていたのにあのお方を出したとたん何か違う方向にいってしまった件について。

「やっと本筋のストーリに入れそうです。それにつけてもカイトとあの人の存在感が異常じゃね? と思わざるをえない そんな第四話」

 目の前には、金髪美女。おそらくはコイツも電次元からやって来た奴なんだろう。
 スラリと長く伸びた細い手足。細い身体を覆うのは50年代風ワンピースで、くるりとカールした金髪とともに、バービー人形のような印象を受ける。それだけならかっこいいんだが、首や手足にぐるりと縫い目か鉄条網のように見えるタトゥーをいれているのがちょっと悪趣味だ。
「ミク、知ってる奴なのか?」
「うん…アンっていうの…強敵だよ…」
 強敵なのか。でも、ここはひくわけにはいかない。
「言っとくけど、今は決闘(フェーデ)とやらは受けられないからな!」
「Why?!」
「早く帰って、アイスと冷凍食品を冷凍庫に入れなきゃいけないんだよ!」
 アンは、あっけにとられている。いや、間抜けなこと言ったと自分でも思ってるんだけどさ、でも切実なんだよ!
「アン、それは大変なことだ」
 アンの隣に控えている大男が神妙な顔で言った。わ、こいつカッコいいな! 背が高くて横幅も筋肉ガッチガチで、すっげーかっこいい。いいな、俺もこんなカッコいい身体になれればいいんだけれど。
「それならば少しくらいは待ってやってもいいだろう」
「ダーリンがそう言うなら…」
 むくれながらも、アンはマスターの言うことに納得している。今がチャンスだ!
「ミク、行くぞ!」
 俺はミクの手をとると、人生最高速の勢い(多分)で駆け出した。

 物凄い勢いで家に駆け込んで鍵をかけた。
「おや、お帰りなさい。どうしたんです、そんなに慌てて」
「アンに会ったの」
 これにはカイトも驚いたようだ。冷凍庫にアイスと冷凍食品を入れながら、簡単に説明する。
「帰る途中で会ったんだ。マスターらしき奴も一緒だった」
「アンですか…実力的には、かなりのものです。しかし気まぐれな性格なので、マスターがどんな人かでかなり変わってきますね。彼女の力を生かせないマスターなら大した敵ではありませんが、もし力を十二分に引き出せるマスターに当たったとしたなら、強敵ですよ」
 あの大男、単体でかなり強そうだったけど、マスター本人が強いとやっぱり強くなるんだろうか。だったら俺、すっごく不利じゃん!
 そういえば。
「ところでカイト、アンタ達の関係者にメイコさんって人、いる?」
 そう言ったら二人とも目を見開いた。
「「どうしてその名前を?!」」
 やっぱりそうか。この前、「どこかで会った気がする」と思った理由が今日わかった。彼女はカイトにそっくりなんだ。髪の色と雰囲気がまったく違うからわからなかったけれど、今日見た優しい笑顔はカイトのそれと同じだった。
「最近、スーパーで見かけるから。ちょっとしたことで話をしたんだ。カイトに似てたから、もしかしてと思って」
「彼女は僕の…双子の姉です」
 双子か、どうりで。
「スーパーでってことは、さっき同じ店にいたのね?! 気づかなかったー。あああ、また未熟者って言われちゃうー」
 ミクが頭を抱えた。
「メイコはアン以上の強敵ですよ。元々の能力の高さに加え、数多の戦いを勝ち抜いてきた歴戦の勇士ですからね」
「なんか凄そうだな。流石はカイトの姉さんってところか。カイトもやっぱり強かったんだな」
 俺がそう言ったら、カイトは寂しげに笑った。
「僕は「できそこない」ですよ」
「駄目だよお兄ちゃん!」
 ミクが叫んだ。
「そんなこと言っちゃ駄目だよ! お姉ちゃんだっていつも言ってたじゃない。「その卑屈な考え方が本来の力を出すのを邪魔してる」って」
 そう言ったミクはもう泣きそうで、そんなミクを見てカイトも悲しげな表情を見せる。
「ミク、僕は…」
 カイトが何かいいかけたとき、玄関のチャイムが鳴った。誰だ? 三蔵が帰ってきたのなら、チャイムを鳴らさずに入ってくるだろうし。
 首をひねりながら玄関を開けると、見知らぬ男がいた。
「ダメだよ、相手の確認をせずに開けちゃあ。無用心にも程があるね」
 30はこえてるはずだが、年齢はよくわからない。口元は笑っているけれど眼鏡の奥の目は全然笑っていなくて、何か嫌な感じがする。
「アンタ、誰?」
「僕のことは烏哭って呼んでね。で、こっちは神威がくぽ君」
 烏哭と名乗った男は、後ろにいた人物を指し示した。神威がくぽなる奴は、実に派手だった。一言で言うと、「SFなお侍さん」。腰まである紫色の髪をポニーテールにして、サイバーチックなボディスーツの上に着物と袴を纏って刀までさしている。
 間違いなく電次元から来た奴だ。でもって、例によって超美形。
「初音ミクがここにいるのなら、奴もここにいるのだろう。しばし、あがらせてもらう」
 そう言い放って、勝手にどんどんあがっていってしまう。おいこら!
「ごめんね、ちょっと僕らというか彼がカイト君に挨拶したいだけだからさ」
 ニヤニヤ笑いながらそう言って烏哭まであがりこんでしまう。
「そうそう、さっきは見事な逃げ足だったねぇ。アンちゃんとガト君は完全に撒かれちゃってたよ。もっとも、僕は撒かれなかったけどね」
 ガトってのはあの筋肉マンの名前だな。この烏哭もあいつらの仲間か。
「こっちに来ないで!」
 リビングの方から聞こえたのは、ミクの叫び声。奴が何かしたのか?!
「ミク!」
 思わず烏哭をほっといて慌ててかけこむと、ミクとがくぽが睨みあっていた。
 床にへたりこんだカイトを守るように両手で肩を抱き締めたミクが、がくぽを睨みつけていた。ミクの腕の中のカイトは、凍りついたような無表情で、目が死んでる…?
「何しに来たの? 今のあなたをお兄ちゃんに近づけるわけにはいかないよ!」
 何だろう。俺がミクのマスターだからだろうか、ミクの激しい感情の迸りが強く伝わってくる気がする。激しい怒りと、それ以上の悲しみと。
「どう…してっ、お兄ちゃんにあんなことをしたのっ…」
「愛しているからだ」
 何ですとー! がくぽはあっさりと、とんでもないことを言い放った。
「カイトが愛しくて、壊したい。その白い肌を思うさま切り刻みたいのだ、私は」
 ホモの上にサディストって、どういう人ですかコイツは。カイトとミクの反応から察するに、既に前科があるんだろうな。確かにこいつは、カイトに近づけるわけにはいかない。
「お引取り下さい」
 ミクとがくぽの間に割って入って、精一杯の冷静な声でそう言ってやった。
「うちの家族が嫌がっているから、帰って」
 うう、なんかすごい殺気が飛んでくるんですけど。でも引けない。
「おい、誰か来てるのか」
 三蔵! 帰ってきたー! この睨み合いがあと三十秒続いたら、俺は気合負けしていたかもしれない。正直いって、たすかった。
「…マスター…!」
 凍り付いていたカイトが、泣きそうな声で三蔵に縋りついた。
「…マスター…マスター…」
 がくぽの殺気の方向が、俺から三蔵に変わった。
「貴様が…!」
 そんな凄まじい殺気をものともせずに三蔵はふん、と鼻を鳴らした。
「てめぇががくぽか。こいつはな、俺のモンなんだよ」
 どうやらカイトとがくぽの因縁は聞いているようだな。三蔵が帰って来たことで、カイトは平静を取り戻したようだ。
「ガク」
 静かな、透明な声。怒りが感じられない穏やかな表情。
「きみが僕にしたことは許せないことだとは思うし、思い出すのも怖いことだったけれど、でも、それでも僕はきみを憎むことができないんだ」
 ミクもがくぽも驚いている。俺も驚いた。何でだよ、カイト。
「僕は…僕は、今でもきみを友達だと思っている。きみは僕の友達なんだ、今でも」
 すごく優しい声だった。
 がくぽは、何故か傷ついたような顔をしている。
「あーあ、綺麗な顔してずいぶん残酷なことを言うんだね、キミ」
 烏哭がニヤニヤ笑いながら言い、がくぽを促した。
「今日のところはひとまず帰ろうね」
 帰れ! とっとと帰れ! 二度と来んな、という思いを込めてマジで玄関に塩をまいてしまった。
「でも何だって、お兄ちゃんに「残酷」だなんて言ったんだろう、あの人」
 ミクも俺と同じことを疑問に思ったんだ。
「そりゃあれだろ、てめぇのモンにならないんならむしろ憎まれたいと思ってたのに、友達だなんて言われちまったからだろ。あの野郎は、カイトに許してもらおうなんて微塵も思っちゃいねぇ」
 その考え方が理解できません。
 ふいに、またチャイムが鳴った。
「どちら様?」
 さっきのことがあるので、インターホン越しに誰何してみる。
「ねえカイトは大丈夫なの?」
 この声は!
 大急ぎでドアを開けると、やっぱりメイコさんだ。
「その様子だと、私が何者かわかっているようね」
「カイトだったらこっちにいるよ」
 メイコさんと、さっきも一緒にいた八戒とかいう人を案内する。
「姉さん!」
「お姉ちゃん!」
「しばらくは様子見のつもりだったんだけどね、アンとプリマと神威がつるんだ上に、神威がアンタのところに押しかけたのを察知したんで心配になったのよ」
 もっと早くに来てくれよ…
「その様子だと大丈夫そうね。やっぱりアンタはマスターを得て化けるタイプだわ」
「でもさ」
 三蔵というマスターを得てカイトは精神的に強くなった、ってことなんだろう。だけど…
「わかんないよカイト。さっきの様子からすると、あいつはカイトに、その…えっと…ひどいことをしたんだろ。なのに何でまだ友達だって思えるんだ」
「ひどいことをされたけれど…でも、それ以前に彼が僕に与えてくれたものは大きかったんです」
 何でこんなに優しい顔ができるんだ。
「ちょっとお茶を淹れてきます」
 そう言ってキッチンの方へ行ってしまった。
「自分で話すのはやっぱりキツいみたいね」
 メイコさんはソファに腰掛けた。ってことは、カイトはわざと席を外したのか。
「さて、どっから話しましょうか。貴方はどこまでご存知?」
 と、三蔵の方を見た。
「あの野郎にされたことの内容を具体的にと、ダチだったこと。向こうはともかくカイトは今でもダチだと思っていることだけだ。アイツのあの野郎に対する思い入れは知ったこっちゃねぇ」
「そう。でもまあ、今後もカイトとつきあっていくなら知っておいた方がいいかもね」
 そしてメイコさんは語り始めた。
 何と、カイトはこっちの世界でいうところの王子様みたいな生まれの人だそうで。ってことはミクはお姫様なのか。メイコさんはお姫様っていうより女王様ってかんじだけど。
 しかしメイコさんに比べて色々と劣る(戦闘能力的にも指導力的にも)カイトは、早々に「できそこない」の烙印を押されて幽閉されてしまったのだという。
「ちょっとそれひどくね?」
「うちの世界にはうちの世界の事情があるのよ。で、誰にも省みられなかったカイトは孤独な日々を送っていたんだけれど、ミクと神威の二人だけが彼のもとを足繁く訪れていたの」
 え、メイコさんは?
「二人だけって、メイコさんはきょうだいだろ。何もしなかったのかよ」
「双子として生まれたのに立場が違いすぎてしまった私が訪れてはかえってアイツを傷つけるんじゃないか、そう思い込んでいたの」
 ああ、その気持ちは何となくわかる気がする。
「でもそれは間違っていた。カイトに必要だったのは、アイツの孤独を埋める存在だったのよ。カイトの優しさを一途に慕うミク、励まし共に学ぶ神威。二人がいたからこそカイトは本来の能力を開花させることが出来たんだわ」
 つまり、カイトの中であいつの存在はミクと同じくらい大きかったんだ。
「結局のところ神威にとってカイトは、掌の中で生殺与奪を握った小鳥だったのよね。でもその小鳥は強く成長し、羽ばたいてしまった。だから羽を毟ろうとしたのよ」
「僕の涙を受け止めてくれるなら、このままでもかまわないと思っていた時期もありました」
 ティーサーバーと人数分のカップを乗せたお盆を持って、カイトが入ってきた。
「彼の腕という鳥篭は、居心地がよかったですから。でも、姉さん風に言うならば、僕は飛ぶことをおぼえてしまったので、飛ばずにはいられなかったんです」
 紅茶を配りながら、淡々とカイトは語った。
「もう、かつての僕らには戻れないでしょうけれど、ミクとガクに慰められ励まされたあの日々はいまだに僕の支えになっています」
 ひどいことをした相手なのに、支えなのだという。それって切ないよ、カイト。どうしよう、未来(さき)が見えない。

今回のBGM

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【2008/11/07 18:54】 | 二次創作 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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酒とカレー粉の日々


酒と辛いものを愛するヲタクな劣等遊民・紅沙まみみ(あかしゃ・?)のダラダラな日々。酒とカレー以外では、峰倉かずや作品・チャンピオン系作品・魔法先生ネギま!とVocaloidの話題が多し。

プロフィール

紅沙まみみ

Author:紅沙まみみ
 紅沙は「あかしゃ」と読ませます。
 酒と辛いものが好きな劣等遊民。初めてBL萌えしたのは幼稚園の時、「宇○鉄○キョー○イ○」を観て、という筋金入りのダメ腐女子。
 心の広い配偶者と息子2人(愛称は仔豚ちゃん)に恵まれるも、ダメ人間っぷりに変わりはなく。
 好きなビールはヱビス。煙草はアークロイヤル。一応清水エスパルスのファン。最近ではすっかりニコ厨。
ツイッターID:m_akasya

連絡等は mamimiあっとlive.jp まで。

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