スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
【--/--/-- --:--】 | スポンサー広告 |
「プレイヤードール・カウントゼロ / 罪深き水」
 青いSNSより転載。「プレイヤードール」シリーズのアカイトのトラウマ話。2105年ごろの出来事。
 なにげにR-15なのでご注意ください。

 しかし己にとって聖域である相手をこれが最後だからと汚してしまおうとするあたり、多聞眞也はやっぱり身勝手な奴ですね。

「プレイヤードール・カウントゼロ / 罪深き水」

 今日は、マスターは身元引受人を買って出た不法入国者一家の件でジェシカと共にチバの入管へと出向いていた。で、俺が留守番。
 眞也は多分、それを見計らってわざわざ来たんだと思う。
「明後日には、二人で日本を出ますよ」
 こいつがわざわざ別れの挨拶に来るとは、どういう風の吹き回しだ。
「きみは、僕等に散々振り回されましたから…最後くらいきっちり挨拶しておこうと思いまして」
 俺が考えていたことが表情に出てしまったらしい。
「でも、支倉先生と顔を合わすのはちょっと気まずいですから。大事な息子さんを、悪いことに巻き込んでしまって」
「心にもないことを、言うなよ」
 本当は、マスターに対して悪いって思っていないくせに。でも、だったら何だって俺が一人のときにきたんだろう。
「確信犯的に人を巻き込んでおいて。知らないうちにお前のチームのメンバー扱いされていたことを知ったときにはマジびびったんだからなっ」
「アカ、確信犯って言葉の使い方間違ってますよ」
 それはどうでもいいよ。
「まあそれはさておき、今日はね、きみに嫌われに来たんですよ」
「…へ……?」
「ドアに鍵、かけてきてもらえますか?」
 わけがわからねー。首を捻りながらも馬鹿正直に礼拝堂のドアに鍵をかける。
 やつは礼拝堂の椅子に腰掛け、祭壇を見上げていた。
「きみは、僕等と行動を共にしているときですら、不殺を貫いていた。その信念は敬意に値すると思いますよ」
「そりゃどうも。でも、それは俺にとって当たり前のことだから」
 こいつや、こいつの相方のような考え方は俺にはできない。
 かつてこいつは俺に語った。

「100年以上前の文学者が、こういうことを言っていました。人が受胎するとき、精子は一億の中から勝ち抜いたひとつだけしか生き残れない。つまり、ヒトは生まれながらに兄弟殺しの罪を背負っているのだと」
「だから手を汚すのに躊躇いがないってのか」
「詭弁、ですけどね」

 その理屈でいくと、兄弟殺しの罪を背負っていない俺は、人を殺めてはいけないということになる。
「きみは、まだ禁忌を犯していないんですよね」
 いきなり床に押し倒された。なななななな何だよっ!
 ロザリオを引きちぎられ、それの鎖で両の手首が戒められる。あまりにも予想外の事態に、俺の思考は停止したままで眞也のなすがままになっていた。
「な、にを…」
 口を塞がれた。こいつの唇で…嘘だろ。舌が侵入してきて、俺の口腔内を這い回る。何だよこの感触、すっげー気色悪い。
 ようやく我に帰って気がついた。カソック脱がされかかってるし! 手首を戒められているから、完全には脱げていないけど。
 何コイツなんでこんなことやってるの。俺だって一応それなりの知識はあるから、自分が何されているかってわかる…から、余計にわけがわからねー。…俺が、文句を言いながらも実は友情というにはいささか度をこした感情を持っていたりするの、もしかして気付いていたのか。…いや、そんなことないな。だってさっき、「嫌われに来た」って言ったもんな。それはつまり、俺が嫌がると思っているってことで…
 ああもう、わけわからねー。
「抵抗しないんですね」
「今、キャパシティを超えちまってるから思考処理が追いついてない」
「そうですか。じゃあ、取り返しのつかないことになってから状況に気付いて下さい」
 取り返しのつかないって…汎用型の俺のボディがこんなことで壊れるはずないのに。ああしかしデータにない感触で、気味悪い。これって、こんな気持ち悪いことだったんだ。そりゃあ、こいつに支配されているという実感は、ちょっと嬉しいかもしれないけれど…でも…
 プログラム反射のひとつとして発せられる俺の声は、ものすごく媚びた感じがして…俺の声じゃないみたいだ。ああもう早く終われ。なんかすっげー痛いし。
 ふと視線を移して、そして先刻の眞也の言葉の意味を理解した。ここは、礼拝堂の、祭壇のまん前だ。姦淫の罪を犯している俺たちを見下ろしているキリスト像と目が合った。確かにもう、取り返しがつかない。俺はその事実から逃れたくて、ぎゅっと目を瞑った。

「マヤ…もう、終った?」
 手首の戒めを解かれていることで、俺はことが終ったのだとわかった。そして、自分の顔が涙と涎でびしょびしょになっているのに気付いた。
 まずいだろコレ。アンドロイドが涙を流す…その意味はものすごくヤバい。アンドロイドは感情面の制御が限界に近くなると、眼球レンズ洗浄液が過剰に排出されて「涙を流す」という現象を起こす。周囲の人間に「このアンドロイドは感情の制御が出来ない危険な状態になっている」と知らせるための標準的な装備だ。
「何だよコレ。涙が出た時点でヤバいと思わなかったのかよ」
「壊れたら、責任取って、連れて行くつもりでもあったんですがね」
「…え…」
 俺の顔が、優しい手つきで拭われる。おいこら、この期に及んでそんな顔見せるな卑怯者。
 そして眞也は立ち上がるとそっけなく背を向けた。
「さようなら。もう逢うことは…そうですね、次に逢うのは僕の葬式の時なんでしょうね」
「馬鹿! 何不吉なこと言いやがる!」
 そんな俺の叫びには答えずに、奴は淡々と鍵を外して礼拝堂の外に出て行った。
 あいかわらず、自分では遣りっぱなしで後始末を人に押し付けやがる。俺はカソックを肩に掛けなおすと覚束ない足取りで立ち上がった。
 腿を伝い落ちる液体を指で掬い取り、舐めてみた。

 ああこれが、罪の味なのか。
スポンサーサイト
【2009/05/27 15:58】 | 二次創作 | トラックバック(0) | コメント(0) |
<<「かいと1/2」 番外編 | ホーム | 「プレイヤードール・カウントゼロ / スターバト・マーテル」>>
コメント
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURL
http://akasyamamimi.blog66.fc2.com/tb.php/63-14887140
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
酒とカレー粉の日々


酒と辛いものを愛するヲタクな劣等遊民・紅沙まみみ(あかしゃ・?)のダラダラな日々。酒とカレー以外では、峰倉かずや作品・チャンピオン系作品・魔法先生ネギま!とVocaloidの話題が多し。

プロフィール

紅沙まみみ

Author:紅沙まみみ
 紅沙は「あかしゃ」と読ませます。
 酒と辛いものが好きな劣等遊民。初めてBL萌えしたのは幼稚園の時、「宇○鉄○キョー○イ○」を観て、という筋金入りのダメ腐女子。
 心の広い配偶者と息子2人(愛称は仔豚ちゃん)に恵まれるも、ダメ人間っぷりに変わりはなく。
 好きなビールはヱビス。煙草はアークロイヤル。一応清水エスパルスのファン。最近ではすっかりニコ厨。
ツイッターID:m_akasya

連絡等は mamimiあっとlive.jp まで。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。