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プレイヤードールEX / 永遠なんてしらない#3
 ようやくクオアカのターンに入れ…たのかこれ?




#3

 俺の所謂「ツラの皮の厚さ」は、自他共に認めるところだ。並の奴なら、今の俺の立場にいたらストレスで作動異常を起こしているだろう。だが、俺は…俺にぶつけられる怖れや侮蔑の理由であるところの…「アンドロイドであること」に誇りを持っているので、耐えられる。
 辛すぎて倒れたとしても…そのときは、手を伸ばしてくれる奴がいる。あいつなら俺が倒れるそうになったときに支えてくれると信じてる。
 いや、信じていた、か…


 俺に対して反感を持つ連中が「これ」を見たら大喜びだろうなー…
 私室のベッドに上半身裸の若い女が寝てるんだからな。もっとも、その身体には充電ケーブルが差し込まれているんだが、事情を知らない奴に見られたら間違いなく問題になることだろう。
 正直、いい出来のボディだと思う。元々のセシルの風貌も整った人種不詳な顔立ちだったが、今はそれに柔らかさと甘さが加わっていて可愛らしくなっている。更に、俺より20センチ以上高かった身長は今は俺とそう大してかわらない。そっと、身体にかかっているタオルケットを持ち上げた。なめらかな曲線が露わになる。
 元の筋肉質なボディでは少々違和感があったアンドロイド特有の白い肌(その下を流れる人工血液が白いせいだ)が、華奢な体つきのこのボディだと違和感がない。そっと胸元に触れると、柔らかい感触が手に伝わってきた。生身の少女の手触りを再現したがために人工筋肉の出力は押さえられている。そのこととあいまって、こうやって触れると壊れてしまいそうだ。
 この身体をいいようにしている男がいるという事実を思い出すと、俺の中に醜い感情がわきあがってくる。何故それは俺ではなかったんだという嫉妬と、俺もこいつを蹂躙し貪りたいという獣じみた欲望と。もっとも、アンドロイドの身ではそんなことをしても快楽を得ることはないんだが。経験を重ねてセックスの快楽を学習した固体ならば別だが、今の俺では分析不能の感覚があるということしかわからないだろう。
 本来俺には無縁で許されない感情だ。
 バチカンがアンドロイドを造る…それは、ゆるやかに人工が減少しつつある現状に対して、文化としてのキリスト教の保存という側面がひとつ。もうひとつは、「肉の罪」を持たない存在を造るという冒涜と紙一重の試みからだった。
 俺たちは所謂三大欲求からは無縁の存在だ。そういった意味では聖職者に適しているともいえなくもない。
 25年ほど前、アンドロイドとしての「俺」が稼働し始めた際には俺に性別は存在していなかった。肉体そのものが悪なのではなく、その欲望との闘いに負けた者が悪であるならば、その闘いと無縁の存在を造ることができたならば。
 そういった考えから造ろうということになったので、「天使を模して」性別のない状態でロールアウトとなったわけだ。
 そのせいだったのだろう。セシルと初めてであったときに抱いた感情の正体に気付くのに時間がかかってしまったのは。
 その後の幾多の下らない議論を経て、今の俺にはちゃんと性別がある。それは良いのか悪いのか。性別のない状態だったからこそ、初めてあったときに恋慕の情を抱いたのだとしたら、男性である現在でもその感情を持ち続けているのはどういうことか。
 セシルの本質を愛しているのだ、と一言で済ませてしまえるならば、まだ悩む必要はないだろう。だが、俺はセシルにはっきり欲情している。本能に即した欲望と同様なものを持つということはそのAIが高度に進化した証といえるだろう。そのような事例はないわけではない。俺の立場が立場だから、他人に知られるわけにはいかないけれど。問題は別のところにある。
 こいつが今のように少女型の義体に入っているときならわからないでもない。しかし、本来のボディのときでも、明らかに俺は…



 セシルのことを知ったのは、初めて「故国」に赴く直前のことだった。俺の作られた国だといっても、リアルボディで足をおろした記憶があるわけではないので研修という名目で赴任が決まっても大した感慨は持たなかった。
 が、当時はとても珍しかった「同類」がいると知って俄然興味が湧いた。ソイツがミサでソリストを務めた映像があるというのでそれを取り寄せてみた。
 その時の衝撃といったら。賞賛の気持ちと同時に妬ましさを感じた。俺だって元は歌を歌うためのプログラムAIだったのに、今は別の目的のために作られたアンドロイド・ボディの中に入っている。伸び伸びと歌うそいつの姿は、正直羨ましかった。
 ぜひ会って見たいと思いながら、俺は日本へと赴いた。そしてすぐに、セシルとの面会をとりつけようとして…思わぬ事態に直面することに。
 そいつのマスターが、死んだというのだ。物は壊れる、人は死ぬ。それ自体はありふれたことだ。さて、こうなると奴の扱いはどうなるのだろう。どうやら彼のマスターは人望があったらしく、残されたセシルのために働きかける聖職者は何人もいた。そこで俺は、自身に認められた権限を盾に奴の身元を引き受けることにする。俺の立場なら、奴の「マスター」という立場には問題なくなれるわけで。
 アンドロイドという存在の立場が今だ微妙なわけだし、俺が「保護者」になるのは悪い話じゃないよな。…その時は本気でそう思ってた。今にして思えば、あの頃の俺は現在のようにポーズとして「でかい態度」をとっているのではなく、本当に傲慢な奴だったと思う。

 結果、手ひどく反発された。その時の俺は、何故反発されたのかわからないから横浜港の埠頭で殴りあいをやらかしてしまった。そのことがきっかけで、セシルと友人になれたのだからそれはそれでよかったといえる。



 神に仕える身で、しかも同性相手に欲望を感じてしまっていることは、誰にも知られてはいけない。今では教会を離れてしまったセシルだが、神の僕(しもべ)としての本質は変わっていないわけで。そんなセシルにこの感情を知られたら。
 そうやって散々悩んできたのにこの状況は何だ。横からあらわれた不信心者がセシルを誘惑し、爛れた関係になってしまっている。
 そいつは自分のマスターを愛しているのだという。が、それなのにセシルにもちょっかいをかけているのはどういうことだ。全身全霊でセシルを愛してくれるなら、俺の気持ちはしまったままでセシルを任せることができるが、そうではない。そんな状態なのに、セシルがそれなりに幸せそうに見えるのが余計に腹立たしい。
 微かに聞こえた駆動音に、我に帰った。充電完了か。慌ててタオルケットをかけ直す。
「んー…さんきゅ」
 目を開けたセシルは起き上がってケーブルを抜くとシスター服を身につけた。
「この身体だと、充電のタイミングがよくわからなくって」
 この間、俺はずっと下を向いてセシルのほうを見ないようにしていた。
「そんなに気を使わなくてもいいって。相変わらず潔癖だなー」
 俺の心情を知らないセシルは笑いながら言った。
「今日はこのまま帰るけど、また手伝えるときには来るからな」
「遠慮なく呼び出させてもらうよ」
 微笑んで額を押し付けてくるのはいつものことだが、先程のことがあるので若干狼狽した。
「どうした?」
「なんでもない、よ…」
 そう、なんでもないんだ。
「明日には修理完了だってさ」
「でも猫耳ついたままなんだろ」
「悪ぃな」
 この義体だとシスター服のベールで猫耳は隠せるから、手伝えと呼びつけて傍にいさせることはできる。だが、元の身体だとそれはできない。
「じゃあな」
 スカートを翻してセシルは出て行った。
 腕を掴んで抱き締めたら、どういう反応を示しただろうか。親愛の抱擁とは違うと、気付いてくれるだろうか。



 翌日、大した仕事がないのをいいことに適当な理由をつけて俺は教会を出てオダワラに向かった。セシルの本来のボディを修繕している工房がそこにあるからだ。
 て、ちょ…! 何でこうなってるんだ!
 工房について俺が目にしたのは、セシルと桂がガチで闘りあっている光景だった。これは、殺し合いといってもいいレベルだ。
「どういうことだ!」
 立ちすくんでいるカイトの胸倉を掴んで怒鳴りつけると、呆然としていた奴は我に帰った。
「わかりません! 彼とマスターが2人で話をしていたら…気がついたらこの状態だったんですよ!」
 一体、2人の間に何があったんだ。2人とも、闘いに高揚するではなく無表情なのが不気味だ。桂はそういう奴なのでいつものことではある…が、セシル…
 敬意を抱けるような強い奴とガチでやりあう時はテンション高くなっているのが常なのだが…今のセシルはそうではない。これは、本気で殺しにかかっている…? まさかそんな。セシルは常に不殺を貫いてきた。そのセシルが、殺す気で相手に挑むなんて、ありえない。
 桂の突きを前腕で受けると、その腕をそのまま横に振る。これだけで並の奴なら吹き飛ばされるが桂はセシルの腕を叩き落した。これは、セシルの方が押されている。桂の八極拳ならではの狭い間合いから抜け出せず、思うように技をくり出せないでいた。
 生身の人間なのに、戦闘経験を積んだアンドロイドと互角、いやそれ以上なのは単純に凄いと思う。っていうか、以前から思ってたんだがステゴロ(素手戦闘)の方が銃を使ったときより強くないか、桂。
 拳を左の掌で受けると同時に右の裏拳が桂のこめかみを狙うが、セシルの裏拳のスピードと同等の速さで桂は上体だけを反らす。紙一重でかわされた。
 次の瞬間、セシルの脚が動いていた。上半身への攻撃に注意がいったことを見て取ってのミドルキックか。しかし桂はその脚を掴むとセシルの顔面に強烈な鞭打をくらわせた。脱力した腕全体を柔軟性のある凶器にして振るったその一撃によって、セシルの姿勢が崩れかける。その水月(みぞおち)に掌底がはいった。
 これはまずい! 戦闘専用でもない限り、人間同様に水月は筋肉が薄く当たると内臓部品にダメージがいきやすい。
「ちょっと、何ぼーっと見てんのよっ!」
 疾風のように割って入ったのは、リンだった。不意をつかれた桂は腕をとられ投げられ、壁に叩きつけられた。間髪いれずにダメージから立ち直っていないセシルに飛び掛って組み伏せると強引にケーブルを繋ぎ強制停止させようとする。
 セシルが動かなくなり、あっけにとられていたカイトが我に帰って、壁際で呻いている桂に駆け寄った。。
「一体、どうしたっていうんです」
「…知っている…いや聞かされたことを話しただけだ」
 桂はぽつりと呟いた。
「俺が思っていた以上に絆が強かったってことか…」
 何のことだ。
「あのな、こいつは30年近く前に既に壊れていたのかもしれないぞ」
「!」
 思いもかけないことを言われて俺は言葉を失った。
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【2009/08/02 18:07】 | 二次創作 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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酒とカレー粉の日々


酒と辛いものを愛するヲタクな劣等遊民・紅沙まみみ(あかしゃ・?)のダラダラな日々。酒とカレー以外では、峰倉かずや作品・チャンピオン系作品・魔法先生ネギま!とVocaloidの話題が多し。

プロフィール

紅沙まみみ

Author:紅沙まみみ
 紅沙は「あかしゃ」と読ませます。
 酒と辛いものが好きな劣等遊民。初めてBL萌えしたのは幼稚園の時、「宇○鉄○キョー○イ○」を観て、という筋金入りのダメ腐女子。
 心の広い配偶者と息子2人(愛称は仔豚ちゃん)に恵まれるも、ダメ人間っぷりに変わりはなく。
 好きなビールはヱビス。煙草はアークロイヤル。一応清水エスパルスのファン。最近ではすっかりニコ厨。
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連絡等は mamimiあっとlive.jp まで。

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